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試用期間について ~実務上の留意点~

2026-05-11 00:00:00

人事労務コラム

試用期間とは、企業が従業員の職務適性を確認すると同時に、従業員自身が業務内容や職場環境を理解するための期間です。台湾では、かつて労働基準法施行細則により「試用期間は40日以内」と定められていましたが、1997年の改正でこの規定は削除され、現在は試用期間に関する明確な法定規定はありません。

一方で、試用期間の設定自体を明確に禁止する規定はないため、実務上も多くの企業が試用期間を設けています。
本記事では、台湾において試用期間を設ける際のポイントを解説します。

1. 社会保険・退職金制度の適用

試用期間中であっても、雇用関係がある限り、健康保険および労工保険への加入、ならびに労工退職金の積立は必須となります。社会保険の未加入や手続きの不備は法令違反に該当するため、入社時からの適切な対応が必要です。

2. 試用期間の長さ

試用期間の設定は企業の裁量に委ねられていますが、一般的には3か月程度が目安とされています。業務の習熟や評価に必要な期間を考慮し、合理的な範囲内で設定することが重要です。

3. 試用期間終了後の昇給

法律上、試用期間終了後に必ず昇給させなければならないという義務はありません。ただし、採用通知書等に「試用期間満了後に昇給する」旨が明記されている場合は、企業はその約定を遵守しなければなりません。一方で、契約に明記がない場合には、評価の結果として昇給を行わなくても違法にはなりません。あらかじめ採用通知書等に条件を明確に記載しておくことで、後の誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。

4. 試用期間中の解雇

試用期間中であっても、企業が一方的かつ無条件に雇用契約を終了させることはできません。解雇を行うには、労働基準法第11条(通常解雇)または第12条(懲戒解雇)に定める要件を満たす必要があります。特に能力不足等を理由とする場合には、改善策の提示や指導を行った記録を残す等、適正なプロセスを経て処理することが求められます。なお、「試用期間終了時に不合格であれば自主退職する」といった条項は、脱法行為とみなされる可能性が高いため注意が必要です。

5. 試用期間運用のポイント

試用期間を円滑かつ有効に運用するためには、業務目標や評価基準を事前に明確化し、従業員へ十分に周知することが欠かせません。その上で、期間中は定期的に労使面談を実施し、進捗状況や課題を共有することで認識のずれを防ぎます。

また、教育担当者や上司によるフォロー体制を整備し、社内コミュニケーションを活性化させることも重要です。指導する側と指導を受ける側の双方に時間的・精神的な余裕を持たせることで、試用期間本来の目的である「適正な評価」が可能となります。従業員が自身の強みや不足しているスキルを客観的に把握できるよう、具体的かつ適切なフィードバックを行うことが望まれます。
 

試用期間は、ルールや運用方法への理解が不十分な場合、思わぬ労使トラブルに発展する恐れがあります。法令や契約内容に沿って適切に運用することで、企業と従業員の双方にとって有意義な評価期間として有効に活用することが可能です。

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