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労使関係のバランスを保ち、争議を未然に防ぐために重要なこと

2026-05-12 00:00:00

人事労務コラム

台湾の労働関係法令は、労働者保護の観点が強い傾向にあります。
例えば、2020年施行の労働事件法では労働者の裁判手続時の立証負担が軽減され、企業に厳しい環境が続いています。
このような仕組みの中で、従業員からの”過剰な要求”や”権利の濫用”に困っているとの相談が多くあります。
雇用者として毅然と対応し健康的な労使関係を築くため、企業が抑えておくべきポイントを紹介します。

1. 雇用契約書の明文化

雇用契約書の未作成に対して罰則はありません。しかし、言った/言わないのトラブルを防ぐには書面化が不可欠です。
これは、雇用契約を終止時にも重視され、特に能力不足を理由とする通常解雇に際して、本来の職務と実際の達成度を対照する際には職務内容が基準となります。

2. 処遇プロセスの証拠化

台湾の労働当局や裁判所は、結果の合法性と同様にプロセスの妥当性を重視します。
“仕事ができないから”という理由での人事異動や雇用契約終止は通用しない、というのは有名な話です。
改善の機会を与えたか、研修を行ったか、等の記録が企業の主張を裏付ける証拠になるため、個別面談やPIP(業績改善計画)が必要になります。

3. 正確な労働時間管理

1分単位での残業代計算や、連続稼働回避のための休憩設定等、台湾には日本の常識で測れない必要事項があります。
また、みなし残業や管理職への残業代不支給の概念が通用せず、原則としてすべての従業員(※)に残業代の支給が必要です。
僅かでも未払があると、最長5年間遡り対応しなければなりません。
※責任制に関する参考記事:https://www.hrispasona.com.tw/jp/news/51

4. 労使会議の形骸化防止

台湾特有の制度として労使会議(中国語:労資会議)があり、3か月毎の開催が義務付けられています。
前項で言及した残業も、労使会議において労使代表間で同意が成されていることが実施前提となります。
同様に、2週、4週、8週という期間内で労働時間を調整する変形労働時間制を導入する場合も、労使会議での同意が法的要件となります。
これが行われていない場合、企業が良かれと思って設定した勤務シフトが違法残業になり得る可能性があります。

 

これらの書面やプロセスを適切に実施することは基本的なコンプライアンスです。 付け入る隙を見せず、従業員からの過度な要求に臆せず対応するための自信に繋がるため、後回しにせずご対応下さい。