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人材募集要項(求人票)作成時の注意事項

2025-08-26 00:00:00

人事労務コラム

台湾において人材募集を行う際には、労働基準法や性別平等工作法、就業服務法等の法律を遵守して、人材募集要項(求人票)を作成する必要があります。これらの法令に違反した場合、企業は罰金や行政指導の対象となるだけでなく、企業イメージの低下や労使トラブルにも発展しかねません。以下に、台湾で人材募集要項(求人票)を作成する際に特に注意すべき4つのポイントをご紹介します。

 

① 登記完了前の求人募集には注意
外国企業(外商)が台湾で人材を募集する場合、まず正式な会社登記が必要です。台湾の会社法(公司法)では、会社としての登録が完了していない状態で「会社名義」により求人活動を行うことは禁止されています。違反した場合は、1年以下の懲役や罰金(最高150,000元)等の法的責任が発生する可能性があります。したがって、子会社・分公司(支社)・辦事處(駐在員事務所)等、いずれかの形で拠点を設立し、登記手続きを完了した上で募集を行うことが不可欠です。

 

② 給与情報は明確に記載
求人票に記載する給与は、正確かつ透明である必要があります。最低賃金は毎年調整されるため、常に最新の基準を確認する必要があります。また、月給が40,000元を下回る場合には、曖昧な「応相談」等の表現ではなく、具体的な金額又は金額の範囲を明示しなければなりません。なお、給与を区間(レンジ)で表示する場合は、その幅が5,000元以内であることが望ましいとされています。
さらに注意すべき点として、試用期間中と試用期間後で給与が異なる場合の表記が挙げられます。たとえば、「月給43,000元〜」と記載しておきながら、実際には試用期間中の月給が38,000元である場合、「月給38,000元~」と記載されていなければ、法令違反となります。試用期間がある場合は、その期間・給与条件・変更後の給与についても明記することが重要です。

 

③ 差別的表現は厳禁
台湾の性別平等工作法では、人材募集要項(求人票)における性別、年齢、婚姻状況、外見、妊娠等を理由とする差別的表現を禁じています。「女性限定」「35歳以下」等の記載は原則として禁止されており、違反した場合は最高300,000元の罰金が科されるおそれがあります。
表現として柔らかく見える「歓迎」「優遇」等の言い回しでも、一定の条件で応募を制限する意図がある場合には問題とされることがあります。例えば「20代歓迎」等の表記は、実質的に年齢制限として捉えられる可能性があります。求人票にはあくまでも業務に必要な能力やスキルに基づいた記載を心がけ、応募者に対して公平な条件提示を行うことが求められます。

 

④ 募集職種と実務内容の乖離に注意
求人で記載された職務内容と、実際の業務内容が大きく異なる場合も問題となります。例えば、募集要項で「秘書」と記載しながら、実際には営業や製造現場での作業を行わせるといったケースです。このような乖離があると、従業員からの苦情や離職につながり、労働基準法違反として是正指導を受けるリスクがあります。具体的な業務内容や日常的な仕事内容、勤務時間帯や勤務地等も含めて、できる限り明確かつ正確に記載しましょう。


法令遵守はもちろんのこと、応募者とのトラブルを未然に防ぐためにも、給与条件の明示、公平な表現、実態に沿った職務記載を徹底する必要があります。