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従業員が裁判所から証人として召喚された場合、必ず「公假」を与えなければならないか?――公假の適用範囲と企業実務

2026-10-21 00:00:00

人事労務コラム

台湾の日系企業では、日本ではなじみがない「公假(公務休暇)」について戸惑うことが少なくありません。また、台湾の労働者の間でも、「公務に関係することや、会社のための用事であれば公假になる」と一般に考えられがちです。しかし、台湾の労働関連法令の枠組みにおいて、休暇の種類、賃金、皆勤手当の扱いを誤ると、労使紛争や法令違反のリスクにつながりかねないため、公假は具体的な法令または主務官庁の見解に基づいて認定する必要があります。

「公假」とは何か?

労工請假規則第8条は、「法令の規定により労働者に公假を与えるべき場合は、賃金を全額支給し、その休暇日数は実際の必要に応じて定める」と規定しています。この中核となる規定から、企業は次の3つの原則を押さえておく必要があります。

1. 「法定の事由」がある場合に限り公假となる

法定の公假には、法令上の根拠または主務官庁の適用見解が必要です。会社が法令を上回る有給の休暇を独自に設けることも可能ですが、法定の公假とは区別して扱うべきです。

2. 賃金は全額支給

公假の期間中、雇用主は通常どおり賃金を支払わなければならず、半額支給や無給とすることはできません。

3. 皆勤手当を差し引いてはならない

労工請假規則第9条により、雇用主は従業員が公假を取得したことを理由に皆勤手当を差し引くことはできません。公假の賃金を法に従って支払わなかった場合や、皆勤手当を違法に減額した場合は、具体的な違反の態様および関連規定に応じて処理すべきであり、すべてのケースを一律に同じ処分事由として扱うのは適切ではありません。
 

法令上、公假を取得できる主なケース

実務上、公假の法的根拠はさまざまな法令に分散しています。よく見られる主なケースは以下のとおりです。

類型 主な事由 法的根拠と認定のポイント
兵役義務 教育召集、勤務召集、点閲召集、徴兵検査・抽選 教育召集、勤務召集および点閲召集については、兵役法施行法第43条に基づき公假を与える必要があります。徴兵検査や抽選等、徴兵に必要な手続についても、主務官庁の見解により公假を与えるべきとされています。公假には、往復に実際に必要な移動時間も含まれます。
司法上の義務 第三者の証人として出廷・証言する場合 労働部の1988年台労動二字第02276号函(行政解釈)により、事業単位による労働基準法、職業安全衛生関連法令等の違反に関して、労働者が司法機関から召喚され出廷・証言する場合は、公假を与えるべきとされています。証人召喚状を所持しているだけでは、一律に公假が適用されるとはいえません。私的な事件については、事件の性質および会社の規定に応じて休暇の種類を判断します。
セクハラ訴訟 セクシュアルハラスメントの被害者が訴訟に関わる場合 性別平等工作法第27条第4項により、セクシュアルハラスメントを受けたことにより訴訟が生じ、被害者が司法機関から出廷の通知を受けた期間について、雇用主は公假を与えなければなりません。法に基づき行われる、または移付された特定の調停手続についても、労働部の2025年8月25日付の令釈により、調停期日に出席する期間に適用されます。
社内の労使協議 労使会議への出席 労使会議実施辦法第12条により、労働者側代表・使用者側代表を問わず、就業時間以外で労使会議に出席する場合、雇用主は公假を与えなければなりません。

 

よく混同される2つの実務上の盲点

1. 「会社の指示による研修・出張」は公假か?

公假ではなく、「出張」または「通常の出勤」にあたります。
多くの企業では、勤怠管理において上司の指示による社外研修を公假として記録する慣行がありますが、法理上、雇用主の指示により業務を遂行し、または必要な研修に参加する時間は、実際の指揮監督の状況に基づいて労働時間に該当するかを判断すべきです。また、出張時の移動時間も個別に判断する必要があります。

残業に該当する場合は法に則って残業代を支給する必要があり、また、残業代休取得の場合は従業員の意思と法定の手続に基づいて行うべきもので、従業員に休暇届を提出させる性質のものではありません。

2. 「投票日」はどのような休暇に該当するか?

投票日は「法定の休日(放假日)」であり、公假ではありません。労働基準法第37条により、指定された選挙、罷免および国民投票の日は休日とすべき日とされています。投票権を有し、当日がもともと勤務日である従業員には、雇用主は休日を与え、賃金を全額支給しなければなりません。本人の同意を得て出勤させる場合は投票を妨げてはならず、もともと勤務日であったか休息日であったかに応じ、それぞれの規定に従って割増賃金を支払う必要があります。当日がもともと例假日または休息日である場合は、別途休暇を与える必要はありません。
 

企業がコンプライアンスを徹底するための3つの提言

1. 証明書類の確認体制を構築する

労工請假規則第10条により、従業員が公假を申請する際、雇用主は関連する証明書類の提出を求めることができます(例:教育召集令状および召集解除証明書、裁判所の証人召喚状および事件の性質を判断するために必要な資料、技能検定の受検票等)。企業は関連する運用ルールを定めるとともに、個人情報および事件に関するプライバシーに配慮すべきであり、休暇の種類の判断に関係のない訴訟資料の提出まで求めるべきではありません。

2. 勤怠システムと給与計算方法を見直す

従業員が休暇の種類として「公假」を選択した際に、皆勤手当や基本給が自動的に減額されないようシステムを設定し、法定の最低基準を確実に満たすようにします。

3. 「法令上の義務」と「会社の福利厚生」の線引きを明確にする

社内規程を策定する際は、「法定義務としての公假(休暇の付与と賃金の支給が必須)」と「企業独自の福利厚生休暇(ボランティア休暇、リフレッシュ休暇等)」の違いを明確に区別する必要があります。法定の公假は法に従って休暇を与え賃金を支給し、独自の福利厚生休暇は就業規則において別途定めることで、法令遵守の確保と組織のモチベーション向上の両立を図ることができます。