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労働組合は設立すべきか。企業別労働組合が従業員と企業に与える影響は何か。

2026-10-21 00:00:00

人事労務コラム

台湾に拠点を置く日系企業にとって、組織規模の拡大や現地での事業運営が進むにつれ、「労働組合」が企業や人事部門にとって関心の高い労使課題の一つとなります。

多くの経営層は、労働組合の設立が労使対立や運営コストの増加につながると考えがちですが、コンプライアンス経営や企業の持続的発展という観点から見ると、労働組合との円滑なコミュニケーション体制を構築することは、企業イメージの向上だけでなく、従業員の一体感の醸成や定着率の向上、さらには潜在的な労使紛争の早期解決にもつながります。

企業別労働組合とは?

工会法(労働組合法)第6条では、労働組合は主に「企業別労働組合」「産業別労働組合」「職業別労働組合」の3種類に分類されています。

このうち、単一企業と最も直接的に関係するのが「企業別労働組合」で、同一の事業場/事業単位、従属関係にある企業(例:親子会社)、または金融持株会社とその子会社の労働者によって組織される労働組合を指します。

企業別労働組合の特徴

・単一性・専属性:

1つの会社(同一事業単位)では、法律上、企業別労働組合は1つのみ設立することができ、その会社に在職する従業員のみが加入資格を有します。

・設立要件:

工会法第11条に基づき、30名以上の従業員が連署して発起することで、企業別労働組合を設立することができます。

・産業別労働組合との違い:

従業員は、企業の枠を超えた「産業別労働組合」へも自由に加入することもできます。産業別労働組合の組合員は、単一企業の従業員に限定されません。

労働組合の設立後、組合代表者は法律に基づき、組合員を代表して使用者と団体協約に関する交渉を行い、給与・待遇、労働時間・シフト、各種福利厚生等の労働条件について、労使間で正式な協議を行うことができます。
 

従業員の組合加入に関する実務上の注意点

工会法第7条では、第6条第1項第1号に基づき組織された企業別労働組合の対象となる労働者は、当該労働組合に加入するものとされています。ただし、主管機関の解釈や実務上の見解については、以下の点に注意が必要です。

・罰則がない宣言的な規定:

法律上、労働者は労働組合に加入するものと規定されていますが、これに関する罰則は設けられておらず、実務上は一般的に宣言的な規定と捉えられています。

・労働組合に加入しない自由の保障:

憲法では、国民の労働権および結社の自由が保障されています。従業員は労務を提供し、その対価として報酬を得るために入社するものであることから、企業が従業員の労働組合への未加入のみを理由として、降格、減給、解雇等の不利益な処分を行うことは適切ではありません。このような対応は、労働基準法上の法定解雇要件や、憲法上保障される結社の自由に抵触するおそれがあります。

・組合費を給与から天引きする場合の要件:

会社が従業員の給与から労働組合費を天引きする場合には、従業員本人が署名した「労働組合加入申請書/給与天引き同意書」が必要です。個々の従業員から書面による同意を得ずに会社が一方的に控除した場合、労働基準法第22条の賃金全額払いの原則に抵触するリスクがあります。

・組合員としての権利・福利厚生:

労働組合に加入していない従業員は、当然ながら、組合規約に基づく内部福利厚生や組合員限定の権利を享受することはできません。
 

人事労務コンプライアンス・管理上のポイント

企業別労働組合の設立・運営にあたっては、以下の3点に注意してください。

・透明性のあるコミュニケーション体制を構築し、不当労働行為を防止する:

企業は従業員の団結権および団体交渉権を尊重し、言葉による圧力、差別的な取扱い、労働組合の設立・運営への介入等を行わないよう注意する必要があります。これらの行為は、工会法第35条に定める「不当労働行為」に該当し、法令違反となるリスクがあります。

・給与からの組合費天引きに関する書類確認を徹底する:

管理部門が労働組合から組合員名簿および組合費の給与天引き依頼を受けた場合には、標準的な手続きを整備し、各従業員本人が署名した同意書があることを必ず確認したうえで、登録・控除を行う必要があります。これにより、賃金をめぐるトラブルを防止することができます。

・労働組合の有無にかかわらず労使会議を開催する:

企業別労働組合が設立された場合でも、労使会議は法令に基づき引き続き定期的に開催する必要があります。そのうえで、企業別労働組合については、現場の声を集約する窓口として積極的に活用し、従業員との継続的なコミュニケーションを通じて要望や課題を適時把握することで、労働条件の改善や離職率の低下、社内管理体制の健全化につなげることができます。