採用面接では、応募者のスキルや経験は確認できても、人柄や仕事への向き合い方、実際の働きぶりまで把握することは容易ではありません。そうした面接だけでは見えにくい情報を確認する手法として、リファレンスチェックがあります。
特に、ハイクラス人材や会計職等、高い専門性や信頼性が求められるポジションの採用において活用されるケースが見られます。本記事では、リファレンスチェックの概要や実施するメリット、具体的な進め方について解説します。
■ リファレンスチェックとは
応募者の前職上司・同僚・部下等に対し、勤務態度や実績、人柄等を確認する採用プロセスです。
■ リファレンスチェックのメリット
1. 採用ミスマッチの軽減
一緒に働いたことのある第三者から応募者の働きぶりを聞くことで、求めている人物像と合致しているか、企業の文化やチームに適合するかどうかをより客観的に判断できるため、ミスマッチの軽減につながります。
2. コーポレートガバナンスの強化
過去の勤務状況やコンプライアンスに関する懸念事項がないかを確認することで、採用リスクの低減につながります。
■ 誰が行うか
企業の人事担当者が直接実施するほか、外部の専門会社へ委託するケースもあります。弊社でも有料のリファレンスチェック代行サービスをご提供しています。
■ 実施するタイミング
多くは内定を出す直前の最終チェックとして実施する傾向にあります。
■ 法律上実施に問題はないか
台湾の就業服務法第5条第2項第2款で禁止されている「就業に不要なプライバシー情報の取得」とは異なり、リファレンスチェックは、職務遂行に関連する情報を確認する採用プロセスです。
また、企業がリファレンスチェックを実施する際には、個人情報の取得行為として台湾の個人資料保護法に基づき、事前に応募者本人の同意を得ることが必須となります。そのため、必要性、合理性の範囲内で適切に運用することが求められます。
■ リファレンスチェックの具体的な流れ
1. 応募者にリファレンスチェックの説明をし、承諾を得る
上述の通り、個人情報保護法の観点から応募者の同意が必須となります。同意を得ることで、応募者と企業間で起こり得るトラブルを回避できます。
2. 過去の職場の推薦者(リファレンス提供者)と連絡先を提供してもらう
応募者の働きぶりや人物像をよく知る上司・同僚に依頼するケースが一般的です。また、在籍中の方は転職活動を職場に知られたくない為、リファレンスチェックの対象は前職となることがあります。
3. 推薦者と日程調整を行う
4. インタビューを実施する
実施手段は電話、オンライン面談、メール、Webフォーム等が一般的です。
■ 質問内容
リファレンスチェックでは、主に勤務態度や人物像、職務遂行能力等について確認します。
質問例:
・業務遂行能力(リーダーシップ、専門知識、コミュニケーション力、意欲等)
・主な実績、特別な功績
・業務内容
・職場での人間関係
・もし機会があれば再雇用したいと思うか。その理由。
■ リファレンスチェックのポイント
1. 「確認目的」を明確にする
単なる評価ではなく、「入社後に活躍できるか」「配属先との適性」「組織との相性」「強み・マネジメントスタイル」等、採用成功のための視点で実施することが重要です。
2. 一つの評価だけで判断しない
前職上司との相性や組織環境によって評価が分かれる場合もあるため、面接内容、スキル評価、リファレンス情報を総合的に判断することが重要です。
このように、リファレンスチェックは、応募者の人物像や実績を多角的に把握し、採用のミスマッチやコンプライアンスリスクを軽減するための有効な手法です。面接だけでは見えにくい情報を補完することで、より精度の高い採用判断につながります。
一方で、応募者本人の同意を得た上で、職務に関連する情報のみを適切に確認する等、法令やプライバシーに配慮した運用が重要です。採用の質を高め、入社後の定着・活躍につなげるための手段として、適切に活用することが求められます。