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労働検査違反事例と予防対策(労働基準法)

2026-07-27 00:00:00

人事労務コラム

台湾では労働部が抜き打ちで労働検査を実施しており、検査員が来訪した場合、企業は突然の対応を迫られます。

2025年の労働基準法違反状況は以下のとおりです。
また、違反企業は労働部のサイトに掲載され、採用や安定雇用にも影響が及ぶため、日常のコンプライアンスに注意が必要です。
(労働部公式サイト)https://announcement.mol.gov.tw/

 

労働基準法の違反状況 全国

・期間 2025/01/01~2025/12/31
・件数 計11,108件 (下表は上位7種、全体の約64%) ←前年比+2,769件の増加

概要 件数 罰金(元) 根拠
1 賃金支給不完全 1,524 2万~150万 労働基準法
第22条第2項
2 残業時数超過 1,158 2万~150万 労働基準法
第32条第2項
3 勤怠記録不備 1,093 2万~150万 労働基準法
第30条第6項
4 延長労働賃金支給義務違反 875 2万~150万 労働基準法
第24条
5 休日不足 874 2万~150万 労働基準法
第36条第1項
6 残業代支給義務違反 816 2万~150万 労働基準法
第24条第1項
7 休日割増賃金未加算 730 2万~150万 労働基準法
第39条


労働基準法の違反状況 台北市

期間 2025/01/01~2025/12/31
・件数 計1,757件 (下表は上位7種、全体の約69%) 

概要 件数 罰金(元) 根拠
1 休日不足 237 2万~150万 労働基準法
第36条第1項
2 残業代支給義務違反 222 2万~150万 労働基準法
第24条第1項
3 賃金支給不完全 210 2万~150万 労働基準法
第22条第2項
4 残業時数超過 138 2万~150万 労働基準法
第32条第2項
5 休息日賃金支給不足 136 2万~150万 労働基準法
第24条第2項
6 勤怠記録不備 134 2万~150万 労働基準法
第30条第6項
7 検査拒否 132 3万~15万 労働基準法
第80条


主な違反は、労働時間と賃金に関するものです。
実際の労働検査においても、以下のような確認手順で効率的に検査が進行するようです。

1. 勤怠記録と賃金明細

労働基準法第30条第1項第5号で、雇用者の勤怠記録保存(5年間)が規定されています。
システム、エクセル、手書き、いずれの方法でも良いですが、入退室記録とは異なります。
理由は、残業代等の支給状況と一致させるため、純粋な労働時間の記録が必要なためです。

2. 連続7日勤務の有無

台湾では”休息日”と”定例休日”による完全週休2日制が運用されています。
休息日は労使同意による労働が可能ですが、定例休日は原則として労働が禁止されています。
つまり、連続7日間の勤怠打刻は定例休日の労働に該当するため、入退室記録で勤怠管理をしている場合は、非業務日の入退室も労働時間と誤解されてしまう可能性があります。

3. 適切な割増率

以下は時給基準による割増率の概要です。
前述のとおり、定例休日の労働は天災発生時等を除いて原則禁止です、割増賃金を支給しても違反を免れることはできません。   

通常労働日 祝日 週休日
(休息日)
週休日
(定例休日)
~8h N/A +1日分の賃金 (~2h) +134%/h +1日分の賃金
+代休
(3~8h) +167%/h
~10h +134%/h +134%/h +267%/h +200%/h
+代休
~12h +167%/h +167%/h +267%/h +200%/h
+代休
備考 - - 代休 →実労働時間
残業代 →割増を適用
労働不可
(除 天災、事変)

4. 労使会議の開催有無

時間外労働を実施するためには労使間での事前同意が必要で、これが無い場合は違法です。
労働者3人以下の場合は個別同意で良いとされていますが、4人以上の場合は等数の労使代表による会議(中国語:労資会議)での同意が必要です。

労使会議の開催には以下の手順が必要で、これらを経ないミーティングは労使会議となりません。

・労働者側代表を選挙で選出
・労使代表者の名簿を当局に届出(台北市の場合は労働局)
・労使会議の開催を労使代表に通知
・労使会議の議題を労使代表に通知
・労使会議を開催
・労使会議の議事録を作成し、社内に保管