残業代や休暇による控除等のベースとなる時給の計算方法が誤っているケースが散見されます。
今回は、正しい時給の計算方法、対象となる月給の範囲、そして誤った運用をした場合のリスクについて解説します。
1. 時給の計算方法は「月給÷30日÷8時間」
台湾における月給制従業員の時給は、毎月の暦上の日数に関わらず、一律「月給÷30日÷8時間」で計算します。
この計算方法は、労働基準法及び労働部の解釈例に明記されています。
・労働基準法
第39条において、休息日、定例休日、および国定休日も雇用者は賃金を支払わなければならないと定められています。つまり、月給制従業員の月給には、実際の出勤日だけでなく休日の賃金もすべて含まれているということです。
・労働部解釈令
暦上の日数に応じて計算する場合、月によって時給が変動し実務が煩雑になるため、「月給制従業員の日給は一律で賃金総額を30で割って推算し、時給はさらに8で割った額とする」と明確に定められています。
2. 時給算出時の月給の範囲
時給計算時の月給には、労働基準法第2条第1項第3号に定める「工資」に該当する手当をすべて含める必要があります。台湾労働基準法における「工資」とは、従業員が労務を提供して得る対価であり、かつ「定期的に支払われるもの(経常性賃金)」を指します。
基本給のほか、職務手当、役職手当、毎月固定で支給される食事手当、皆勤手当等が該当します。工資に含まれないものには、三節礼金や、会社の利益等に基づいて突発的・非経常的に支給される特別ボーナス等(恩恵性給付)があります。
「工資」にあたる手当等を除外し基本給のみをベースに時給を計算することは、違法となりますのでご注意ください。
3. ルールに沿った計算をしていない場合のリスク
上述のルールに沿わない計算を行っている場合、給与未払いとなるリスクがあります。例えば、実際の稼働日(22日等)で時給を計算している場合、1時間あたりの単価が本来より高くなります。
この高い時給を用いて遅刻や欠勤、休暇の給与控除を行うと、労働基準法の規定以上に給与を差し引くことになり、「賃金全額払いの原則」違反となります。
逆に、31日の月に31で割って残業代を計算すると、時給が低く算出され、残業代の未払い(労働基準法第24条違反)となります。
また、「工資」にあたる手当があるにも関わらず、基本給のみをベースに時給を計算すると、残業代の算出単価が不当に低くなります。
これらが労働検査等で発覚した場合、労働基準法違反として罰金が科される可能性があるほか、企業名が公表されたり、過去5年間に遡って不足分の残業代を全従業員に対して追給するよう命じられるリスクがあります。
ルールに沿った正確な運用をするために、今一度給与計算の実態について確認することをおすすめします。