「台湾人は極めて家族ファーストである」と感じたことはありませんか?
台湾人の家族には独特の強いつながりがあり、日本ではなかなか退職理由に挙がりにくい家族からの反対や介護問題が、 採用辞退や辞職の原因となる事例が多く見られます。
自身のキャリアよりも家族の幸せを選ぶ価値観は、 台湾人を雇用する際に必ずと言ってよいほど遭遇する日本との大きな違いで、駐在員の悩みの種となっているかもしれません。
採用や退職における台湾の家庭の事情について、弊社で遭遇したケースからいくつかご紹介します。
【採用時】
具体例1 遠距離通勤を家族が反対し内定辞退
内定者は既婚男性で採用時には自宅から会社まで片道1時間の車通勤を承諾。
その後、入社直前に配偶者からの大反対を理由に入社辞退を申し出た。
台湾の小学校の送迎において日本のような集団登校や子供だけで通学することは一般的ではありません。
特に高学年になるまでは、お子様の安全は家族が責任を持つという意識が強く、個別送迎や付き添いが一般的です。
中学生未満のお子様がいらっしゃる求職者においては、配偶者、両親からのサポート体制について丁寧に確認をすることが必要です。
具体例2 地元以外でのエリアの就職を家族が反対し内定辞退
内定者は独身男性で採用時には別都市での勤務を承諾。
その後、地元志向である両親からの大反対を受け入社辞退を申し出た。
台湾人の求職者は以下のような点で家族の意見を考慮する傾向があり、特に新卒や若年層では、親のアドバイスが非常に強く働くことがあります。
・地元志向(実家から通える会社を好む)
・安定志向(家族が安心する企業を選ぶ)
・海外勤務は家族と相談して決める
【離職時】
具体例3 優秀な社員が家族の介護で辞職
勤務態度は真面目で優秀。本人も不満なく勤務していたが、祖母が要介護者となり、家族の決定で自分が面倒をみることになったため辞職。
家族の意見が強く反映され、自身のキャリアや会社の都合よりも家族優先という台湾社会の価値観がうかがえます。
働き盛りの息子や孫が家族の介護のために会社を辞めるということは、日本の家庭では考えにくいことですが、少し角度を変えると違う一面が見えてきます。
台湾女性の社会進出は以前から日本より進んでおり、多くは結婚後も仕事を続け、懐妊後は出産直前まで出勤し、出産後から2か月ほどの産休をとり職場復帰を果たします。
この裏には、定年した父母の活躍が隠れています。
子供を父母に預け、自分は子供の世話を気にせず働く若夫婦世代も多くいます。
よって、家族内のお年寄りの面倒を見るのは、合理的な相互関係なのかもしれません。
これらを照らし合わせてみると、仕事より家族ファーストである風習の裏側に、台湾の家族がお互いによく助け合っている姿がうつります。
また"親孝行"は一緒にいることが意味を持ち、ライフイベントにより実家を離れた後も頻繁に帰省する人もいます。
日台の文化には共通点も多くありますが、家族との繋がりに関しては台湾の方がより一層深さを感じることがあります。
家族の意見はキャリア選択の重要な意思決定要因となります。
台湾ではこれは単なる個人の価値観ではなく、文化として根付いている点が特徴です。
逆に言えば、家族を尊重する企業は台湾人からの評価が高くなります。
そのため、社員の家族に応援してもらえるような職場風土を作りあげることが在台湾日系企業ではより必要かもしれません。
例えば社員旅行への家族同行、旧暦行事での三節礼金やプレゼント支給、他には団体保険の家族加入等が考えられます。