台湾行政院は育児支援の新たな施策として「育児休業・家庭照顧休暇の改訂案」を正式発表しました。2026年1月1日から施行されるこの新制度は、少子化対策の一環として、働く親が仕事と家庭を両立しやすい環境を作ることを目的としています。
人事担当者が押さえておくべきポイントを3つに分けて解説します。
1. 休暇単位の変更
これまで日単位や半日単位での設定が多かった家庭介護休暇、「30日以上の連続取得」が前提であった育児休業ですが、新制度では取得単位がより細分化され、都合に合わせて柔軟に取得できるようになります。
・育児休業(育児留職停薪):最小単位を「1日」として申請可能になります。
・家庭介護休暇(家庭照顧假):最小単位を「1時間」として申請可能になります。
これにより、子どもの急な発熱や参観日、予防接種といった一時的なニーズに対して、キャリアを中断することなく柔軟に対応できるようになります。
2. 企業への支援と現場の混乱を防ぐためのルール整備
休暇単位の変更は企業の管理コストを増大させる懸念があるため、労働部は小規模企業(従業員30人以下)への奨励金支給を決定しました。労働者が1日の育児休業を取得するごとに、政府は雇用者へ1日あたり1,000元の奨励金を支給します。
また、急な欠員による現場の混乱や、代替スタッフの過重労働を防ぐため以下のルールも整備されました。
・5日前までの申請ルール:原則として、労働者は休む5日前までに申請しなければなりません。
・緊急時の例外:子どもの感染症や急な休校・休園の場合は、1日前(または当日)の申請も認められます。
・代替スタッフの残業制限:休暇を取得した社員の業務をカバーする代替スタッフの残業については、フレキシブルな運用が認められます。ただし、過労防止のため「休んだ社員の業務範囲内に限る」等の条件が付きます。
3. 事務手続きについてよくある質問
労働部は改訂に伴う事務手続きの疑問点について、以下のとおり説明しています。
Q1:従業員数が30人未満の企業に支給される奨励金はどのように申請すればよいですか。
A1:雇用者が個別に申請を行う必要はありません。労工保険局が育児休業に伴う社会保険継続および育児休業給付金のデータを照合し、受給対象企業を自動抽出します。企業側はオンラインで振込口座を登録するだけで、四半期ごとに奨励金が自動的に振り込まれます。
Q2:育児休業を日単位で申請する場合、従業員本人が受給する育児休業給付金申請や社会保険継続申請も日単位で行う必要がありますか?手続が煩雑になりませんか?
A2:日単位で申請する必要はありません。給付金および社会保険継続の申請は複数日分をまとめて同時に申請することが可能です。申請方法は現行制度と同様で、オンライン申請または書面申請のいずれも可能で、オンライン申請の場合は、従業員本人が携帯電話によるモバイル認証を利用して24時間いつでも簡単に申請できます。
Q3:従業員の育児休業に伴う社会保険継続の手続を行った後、従業員が復職する際に、改めて労工保険局へ通知する必要はありますか。
A3:労工保険局では、今回の休暇制度改訂に伴い、給付金および社会保険継続の申請プロセスを改正し、育児休業終了後の復職届出手続を一体化しました。従業員が社会保険継続を選択した場合、育児休業終了時の復職申請も同時に行われます。
労工保険局は、社会保険継続期間満了日の翌日に、従業員の被保険者資格を自動的に一般被保険者に変更し、あわせて労工退休金(退職金)の拠出も自動的に再開します。そのため、雇用者が別途復職届を提出する必要はありません。
ただし、従業員が予定より早く復職した場合には、雇用者が復職届を作成し、労工保険局へ届け出る必要があります。
まとめ:企業に求められる対応
今回の変更は、企業にとって単なるコスト増ではなく「人材流出を防ぐための投資」としての側面が強まっています。労働部は今後、こうした取り組みを、ESG情報の開示項目や「工作生活平衡(ワークライフバランス)賞」の選考基準に反映させる方針です。
今後の必要対応:
・2026年1月の施行に向け、就業規則の改訂を検討する。
・1日、1時間単位の欠員が出た際、チーム内でどのように業務をバックアップするか、オペレーションの見直しを行う。