日本では、有期契約社員を雇用している企業は多くあり、台湾でも可能かどうかお問合せをいただく機会があります。
台湾における労働契約には、「無期契約」と「有期契約」の2種類があります。
労働基準法第9条により、原則として継続的な業務には無期契約を結ぶ必要があります。有期契約が認められるのは、臨時性・短期性・季節性・特定性の業務に限ります。
労働基準法施行細則第6条に規定する有期契約が認められる条件は以下のとおりです。
1.臨時的業務:予測が困難な非継続的業務であり、就業期間が6か月以内のもの。
2.短期的業務:予測可能であり、6か月以内に完了する非継続的業務。
3.季節的業務:季節的な原材料や材料の供給、あるいは市場の販売状況により影響を受ける非継続的業務であり、就業期間が9か月以内のもの。 (例:農園での果物収穫作業で一時的に大人数が必要)
4.特定性業務: 特定の期間内に完了可能な非継続的業務。就業期間が1年を超える場合は、所轄の主管機関への届出・承認が必要とされる。(例:1年限定のプロジェクト)
上記に該当しない場合は、原則として無期契約としての雇用と見なされる可能性があります。
さらに、臨時的業務または短期的業務に基づく有期契約であっても、一定の条件を満たした場合は「無期契約」とみなされることがあります。
・契約終了後も労働者がそのまま勤務を継続し、雇用者が明確に異議を示さなかった場合
・契約更新により、新旧の契約期間の合計が90日を超え、かつ契約と契約の間の中断期間が30日以内である場合
また、台湾では多くの企業が新規雇用時に試用期間(おおむね3か月)を設けていますが、労働基準法上には試用期間に関する明確な規定はありません。
有期契約が制限される中、人材派遣会社を通じた間接雇用で、契約期間の柔軟性を確保できます。一方で、台湾では、無期契約を前提とした雇用体系が中心であることから、求職者側も安定性を重視する傾向が見られます。そのため、企業が有期契約社員や派遣社員を活用する場合には、職務内容、期間、待遇、キャリアパス等について丁寧に説明し、双方の理解と納得を得ることが円滑な人材活用につながります。