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普通傷病休暇と皆勤手当 ― 不利益処分とならないための実務対応

2026-02-09 00:00:00

人事労務コラム

労働者の健康権をより明確に保障するため、労働部は「労働者休暇申請規則」を改正し、2026年1月から施行しています。

今回の改正で実務上特に注意が必要なのが、普通傷病休暇と皆勤手当の取扱いです。
従来は「1日でも休んだ場合は皆勤手当を不支給」とする運用も見られましたが、現在の制度下では、普通傷病休暇を取得したことを理由に、皆勤手当を全額不支給とすることは不利益処分に該当すると明確に整理されています。

皆勤手当の支給原則と実務対応

普通傷病休暇は、労働者が法令に基づき取得できる正当な権利であり、取得自体を理由とする不利益処分は禁止されています。皆勤手当についても同様で、全額控除ではなく、比例原則に基づく調整が求められます。
実務上は、普通傷病休暇を取得した場合でも皆勤手当を一律に不支給とせず、取得日数に応じて控除します。

例えば、月額皆勤手当が3,000元の場合、普通傷病休暇を1日取得した際の控除額は、

3,000元 ÷ 30日 = 100元

とするのが原則的な考え方です。

人事評価との関係

本改正により、人事評価において普通傷病休暇の取得を評価の対象としてはならないことが明確になりました。
特に、年間の普通傷病休暇取得日数が10日以内の場合、人事考課やその他の不利益処分を行うことはできません。
また、10日を超えた場合であっても、休暇取得そのものを理由に評価を下げたり処分を行ったりすることは認められません。
普通傷病休暇は日数にかかわらず、評価判断から切り離して扱う必要があります。

企業側に求められる対応

10日を超える普通傷病休暇取得者に対して人事評価や処分を行う場合、
企業側は、その判断が休暇取得とは無関係であることを合理的に説明・立証する責任を負います。
そのため実務上は、「出勤状況や休暇取得の記録」と「業務成果、勤務態度、規程違反等の評価要素」を明確に分けて管理することが不可欠です。
あわせて、皆勤手当や評価制度に関する社内ルールが、現行法令に沿った内容となっているかを確認・見直すことが重要です。
 

◎普通傷病休暇新制度に関するよくある質問

Q1.普通傷病休暇を取得したことを理由に実施してはならない「不利益処分」とは何を指しますか?

新制度では「不利益処分」を以下のように明確に定義しています。

  • 賃金・待遇面賃金の引き下げ、賞与の減額(病気休暇取得日数による日割り減額は除く)、既存の福利厚生の取消し等
  • キャリア形成面解雇、降格・配置転換、昇進審査における不利な取扱い、年度評価の引き下げ等
  • 本来享受すべき権利の侵害法令・契約・社内慣行に基づく権利の侵害(例:シフト選択権の剥奪等)

Q2.普通傷病休暇は、時間単位や半日単位での取得は可能ですか?

可能です。労働基準法では「日」を基本単位としていますが、労使間で合意があれば時間単位または半日単位での病気休暇取得も認められます。

Q3.生理休暇や安胎休養休暇と合算されますか?

されません。今回の改正における「10日以内」とは、あくまで 「労働者休暇申請規則」に基づく普通傷病休暇を指します。

「性別平等工作法」で保障されている生理休暇・安胎休養休暇は、もともと不利益処分が禁止されているため、10日の計算対象には含まれません。

Q4.病気休暇が10日を超えた場合はどうなりますか?

年間の病気休暇が 10日を超えた場合、雇用者は超過分について人事評価の要素とすることは可能です。

ただし、改正後の「労働者休暇申請規則」第9条の1第3項により、評価はあくまで「合理的」でなければならず、11日目の病気休暇を取得したことだけを理由に評価を下げることはできません。
評価にあたっては、引き続き業務能力・勤務態度・実績等を総合的に考慮する必要があります。