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退職金制度に関する法令修正(駐在員にも関係あり)

2026-01-26 00:00:00

人事労務コラム

台湾の退職金制度は、労働基準法に基づく旧制度と、労工退休金条例に基づく新制度があります。 これらは、企業の福利厚生ではなく、外国人を含む全労働者が対象となる国の制度であり、いずれかへの加入が必要です。

外国人労働者である日本人駐在員(董事以外)も、健康保険や労工保険と同様に、退職金制度に加入が必要です。
多くは旧制度の対象者になりますが、いずれは帰国する身であり受給を期待しないためか、未加入(未拠出)が散見されます。
労働検査で指摘された例も複数あるため、注意が必要です。

新/旧制度について、以下リンク先動画の15:47から重要ポイントを説明しています。

HRIS動画:知っておくべき台湾人事労務のコンプライアンス

本件に関し、2026年1月からルール変更になりました。
以下「外國專業人才延攬及僱用法」によれば、今後は全ての外国人にも新制度加入が義務化されます。
但し、既に旧制度に加入している外国人は、2026年1月1日から同年6月30日までの間に雇用者に書面申告すれば、旧制度の継続が可能です。
つまり、2025年12月時点で旧制度に加入しているべき相当数の日本人駐在員は、新/旧いずれの制度に加入するかを選択し、会社に書面通知する必要が生じます。

外國專業人才延攬及僱用法 第24条第1項 (修正施行日2026/01/01)

(日本語概要)

“外国専業人材(※1)”及び”外国特定専業人材(※2)”は、労工退休金条例の退職金制度(※3)が適用される。

但し、既に労働基準法の退職金(※4)に加入している者が、修正施行日から6か月以内に、引き続きその適用を受ける旨を雇用者に書面で示した場合はこの限りではない。

※1 一般的な居留証で就業している外国人
※2 例:就業ゴールドカードで就業している外国人
※3 新制度
※4 旧制度

 

なお、当該状況を踏まえ、新旧退職金制度の概要は下表のようになります。

はたして新/旧どちらの制度を選択すべきか、その判断は労使それぞれの視点により異なります。
それぞれの状況により選択は異なりますが、一般的には以下のような特徴が判断材料になります。

1. 新退職金制度  根拠法令:労工退休金条例

(1)企業(拠出者)視点

・掛金コストは約6%月数。確定拠出型の制度であり、規定額を拠出すればよい。

・掛金拠出先は当局であり、退職金受給者の有無を問わず掛金は還付されない。

(2)労働者(受給者)視点

受給資格は年齢のみ、60歳で受給可能。 解雇金は平均賃金勤続年数0.5で計算され、上限値は平均賃金6か月分となる。

2.旧退職金制度  根拠法令:労働基準法

(1)企業(拠出者)視点

・掛金コストは2~15%月数。確定給付型の制度であり、給付時に積立金額が不足の場合は積み増しが必要。

・受給資格は高難度であり、受給者が現れない場合、掛金(拠出先:自社口座)はプールされる。

・旧制度加入者がゼロとなった時点又は企業が解散した時点で、自社口座を解約して掛金は還元される。

(2)労働者(受給者)視点

・受給資格は達成困難だが、受給金額は大きい。

・解雇金は平均賃金勤続年数で計算され、上限値の制限はない。

なお、以上の退職金制度と併せて、就業保険も外国人への適用が拡大されました。
就業保険とは、労工保険を構成する要素の1つであり、通常解雇による失業時に保険金が給付される制度です。

これまでは台湾人労働者と、台湾人を配偶者に持つ労働者に適用されていましたが、2026年1月1日からは永久居留証を取得した外国人労働者(外国専業人材や外国特定専業人材)も対象になります。

これに際して、2026年1月1日時点で既に永久居留証を所持している外国人労働者に対しては、労工保険局が自動で手続きをするため、企業側の対応は不要です。